一体感とは?パーパス経営で一体感のある組織を作るポイントを解説

① 一体感とは?

一体感のある組織を作りたい。こう考える経営者は多い。たとえば学生時代に「全国大会出場!」を合言葉に「一体感を持って厳しいトレーニングを乗り越えた」という成功体験があると、会社でも同じような一体感を作りたいと思う。また、なでしこジャパン(女子サッカー日本代表)や侍ジャパン(野球日本代表)の活躍を見ていると「共通の目的を持った一体感のある組織」の強さに憧れる。

 

ではこのような一体感のある組織はどのように作ればいいのだろうか?そもそも、一体感のある組織とはどのような組織なのか?このページでは解説していきたいと思います。

 

まず、最初に明らかにしておきたいことは一体感とは何か?です。辞書で調べると「一つにまとまったと感じること」とあります。つまり、一体感のある組織とは、所属するメンバーが「一つにまとまっていると感じている組織」です。


ただ、ここで問題になるのは「感じる」とは「感覚」であり、人によって感じ方が異なる点です。次の項目で解説している3つのポイントは、1つでも該当すれば「感じる」人は出てくるでしょう。一方で1つでは「感じない」人も多くいると思います。そして3つ揃うと大半の人が一体感を「感じる」のではないでしょうか。ぜひ、一体感のある組織を作るための参考にしてください。

② 一体感のある組織を作る3つのポイント

1.目的の一致

あなたの会社が事業を行っている目的は何でしょうか?顧客の幸せ?従業員の生活を守るため?社会課題を解決するため?様々な目的があるでしょう。この目的が一致していることが重要です。

 

Aさんは「社会課題の解決」を目的として働いています。Bさんは「できるかぎり楽に自分の生活を守るため」を目的として働いています。Aさんが「社会課題の解決のために、失敗するかもしれないけど大きなチャレンジをしよう」とBさんに持ち掛けても、Bさんは首を縦に振らないでしょう。それどころかAさんのチャレンジを「余計なことをするな」と邪魔をするかもしれません。


つまり、一体感のある組織を作るには、経営者から従業員まですべてのメンバーが「目的」を一致させる必要があります。なお、2019年以降
、企業が存在する目的を「パーパス(社会における存在意義)」として定義し、パーパスを体現する経営が求められています。これは自社(経営者と従業員)が豊かになればいいという目的ではなく、自社も、顧客も、地域社会も、地球環境も、すべてが豊かになるパーパスを定め、経営していくことを指します。

もし、一体感のある組織を作りたいのであれば、あなたの組織自体が長きにわたり持続可能であるためにもパーパスを定め、パーパスをもとに意思決定を積み重ねていくことをオススメします。

2.目的に向けた高いレベルでの努力

目的が一致していても、その目的に対して誰も努力をしていなければ一体感はありません。また、一部の人だけが努力をしていても一体感を感じることはないでしょう。

 

大事なことは、個人差はあれど「総じて高いレベルで努力をしている」ことが必要不可欠です。仮に努力レベルが10段階あるとすると、全員が「8~10」の高いレベルの範囲内で努力をしている状態を目指しましょう。

なお、ここでは能力の差は問いません。たとえばサッカーの日本代表チームでも先発で出る選手と、ベンチの選手、さらにはベンチ外で帯同している選手までいます。選手の能力を比べれば大きな差はありますが、全員が「目的に向けた高いレベルでの努力」をできていれば、チームとして一体感のある状態になります。

3.目的に向けた協力(多様性の尊重)

では目的が一致していて、個々が高いレベルで努力をしていれば一つにまとまったと感じるのか?答えはNOです。高いレベルの努力をしているということは、高い負荷が掛かっているということ。心が折れたり、調子を崩す人がでてきます。チーム全体としてパフォーマンスが落ちることもあるでしょう。そのときに自分のことしか考えていない組織に一体感はありません。

困難なときこそ「協力して乗り越えることができるか?」が重要です。パフォーマンスの低い人を無視するのではなく、みんなでサポートができる状態を作っていきましょう。

 

また、人が集まると価値観や意見の違い、生活環境(たとえば育児や介護)の違いもあります。これらの違いを尊重し、認め合うこと、合意形成を目指すことも欠かせません。多様性を尊重できない組織は「1人+1人=1.5人分の結果」というチームとして結果が下がることがあります。ぜひ多様性を尊重できる組織を作っていきましょう。

 

余談ですが「協」という字は「十(10=多い)」と「力を3つ集める」構造になっています。この字の通り「多くの力を集める」ことができれば、大きなことを成せる。私は「1人+1人=2人分以上の結果」の出せる組織を作っていきたいです。

③ 一体感のある組織は〇〇〇〇〇〇です。

 組織はつねに存続の危機に晒されています。近年では2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2020年のコロナと、組織崩壊、倒産が続出するタイミングは頻繁に起きている。

そんな危機においても倒産しないどころか、成長を続ける持続可能な組織とはどのような組織でしょうか?厳しい局面でも
、目的達成に向けて様々なアイデアが出され、徹底的に議論され、メンバーが協力して動いていく組織です。そんな組織では、社員は驚くほど成長し、イキイキと働いています。メンタルダウンは少なく、離職率も低く、紹介による採用は増え、採用コストが下がります。当然、業績は上向き、さらに個人も事業も成長していく好循環サイクルが回り続けます。

 

つまり、一体感のある組織とはサステナブルなのです。

 

・目的の一致
・目的に向けた高いレベルでの努力
・目的に向けた協力(多様性の尊重)

 

この3つが揃ったサステナブル(持続可能性が高い)組織を目指してみませんか?

④ そんな奇跡のような組織は存在するのか?

「デジタルインフォメーションを安全に交換できる世界の実現」というビジョン(パーパスと置き換えてもいいかもしれません)を掲げているトレンド・マイクロ社。社員の方と話すと、新入社員から経営陣まで、誰もがこのビジョンを口にします。それどころか、社外の私までこの言葉を丸暗記し「そのために私は何ができるか?」と考えるわけです。

一体感は社内に留まらない。

これがトレンド・マイクロ社を見て、触れて、私が感じた奇跡です。もちろん他の2要素(努力と協力)も揃っているトレンド・マイクロ社は、激動のIT業界のなかでも素晴らしい人の成長、事業の成長を続けています。

最後に、こんな問いかけをして第一弾の記事は終わりにしたいと思います。「あなたはどのような会社を目指しますか?」