更新日 2023/08/16

ロジカルシンキングとは?

ロジカルシンキング(論理的思考)とは、筋道立てて考える思考法のことです。広義では筋道立てて考える思考法と、それらを活かして思考とコミュニケーションを円滑にする方法、ということになります。
詳細は「ロジカルシンキングとは?」をご参照ください。

ロジカルに思考する組織とは?

ロジカルシンキング(論理的思考)=筋道立てて考える思考法と、それらを活かして思考とコミュニケーションを円滑にする方法が実践できている組織が「ロジカルに思考する組織」です。この組織では、自発的な意見が飛び交い、多数決ではなく、全員の納得する強固なロジックが合意形成されていきます。

1人1人の価値観、意見を尊重し、みんなが納得する結論を導きだそう。という世のなかの流れもあり「ロジカルに思考する組織」は全ての組織が習得しておきたい能力とも言えます。

ではそのような組織をどのように作ればいいのか?そのヒントとなる4つの鍵をご紹介していきます。

4つの鍵

① 「因果・言葉・質問・概念」を鍛える

「ロジカルシンキングがてきない4つの理由」にも書きましたが、「因果・言葉・質問・概念」の能力が低いと、ロジカルシンキングはできるようになりません。全社員がこの4つの能力を鍛えることが1つ目の鍵になります。

しかし、これを鍛えるには大きな問題があります。それは、この能力を学校教育で習ってこなかったこと。そして、失敗体験のつみ重ねによる強い「苦手意識」が醸成されていることです。ではどのように教え、苦手意識を取り払えばよいのでしょうか?このポイントが2つ目の鍵「教える研修・教えない研修」、3つ目の鍵「成功体験の創出」になります。

② 「教える研修・教えない研修」を効果的に使う

【教える研修】の特徴

・講師が受講生(社員)に「教える」ため、受講生は「受け身」になりがち。

・一度に大人数に教えることはできるが、1人1人に合わせた指導は難しい。

・人数が多いのでテストは「正解を覚える暗記系」。「考える」より「覚える」ことが主となる。一般的な学校教育に近いかたち。

・一見すると効率的な教育に見えるが、実際のところは、、、

【教えない研修】の特徴

・講師が受講生(社員)にテーマを投げかけ、受講生が主体となって探究する。

・講師の仕事は「観察」と「支援」。人数が多すぎると難しくなる。

・探究中の行動と成果物を評価する。「覚える」より「考える」や「仮説を検証する」ことが主となる。また「振返り」が学習効果を促進する。

・時間は掛かるが、好奇心や実践能力が身につく。研修後も自発的に学ぶ。

【教えない研修】を導入する3STEP

STEP1受講生(社員)が考えやすく興味のあるテーマを選び、スキルを実践しやすい難易度に調整すること。(テーマ例)昨年度の問題を分析し、自社の新卒採用施策の改善案を考える。

STEP2:STEP1の振返りで得た気づきを実践できるテーマであり、難易度を少し上げる(関係者や情報量を増やす)。(テーマ例)競合から優位に立てる、自社の人事戦略を考える。

STEP3STEP2の振返りで得た気づきを実践できるテーマであり、難易度を少し上げる(関係者や情報量を増やす)。(テーマ例)自社の経営課題を見つけ、解決策を考える。

なお、ロジカルシンキングの導入は「教える研修」からでも良いかもしれません。しかし、実践能力を身につけるには「教えない研修」をやる必要があります。講師から「聞いた・暗記した」ことを、自分で試行錯誤しながら「(いいやり方を)見つけた・身につけた」に昇華させることを目指しましょう。

③ 「成功体験」を創出する

「① 因果・言葉・質問・概念」の能力ですが、日本の学校教育では「誤りの指摘(失敗体験)」はあっても「その分析は素晴らしいね」「その言葉の選び方は最高だね」「すごくいい質問だね」「その概念の構造はうまい」と「褒められる(成功体験)」ことは殆どありません。その結果、強い「苦手意識」が醸成され「考えること自体を避ける人」すらいます。

ただ、闇雲に褒めれば良いという訳ではありません。ここでは以下の目標設定とサポートのポイントを意識してみてください。(全マネージャにインストールすべき)

・個人に合わせた目標を設定する。(最初は達成しやすいもの)

・徐々に難易度を上げ、ギリギリ手が届く目標を設定する。

・よく観察し、目標を達成するための最低限のサポートをする。

・良い行動を褒める。改善点を指摘する。(割合は3:1=褒める:指摘)

④ 「上司と組織が模範」となる

ここまで①②③と取組んできたことが最終的に機能するかどうかは、上司と組織が「ロジカルシンキングの模範」になっているかどうかに大きく左右されます。特に「経営理念と一貫性のない戦略や経営判断」や「あーだこーだ言わないで、黙ってやれ!という上司の発言」、「ロジックが不透明な評価」は社員の学習意欲と能力の発揮を妨げます。(メンタルの不調や離職率の上昇にも関わる)

そこで「経営理念と戦略の一貫性」「マネージャー教育」「透明性の高い評価制度の構築と運用」を徹底し、上司と組織が「ロジカルシンキングの模範」になることを目指していきましょう。(基本的なロジカルシンキングのスキルが業務で使われていることは大前提です)

まずはあなたの思考から

「上が決めたことは黙って聞け」はもう通用しない。人手不足の日本社会。優秀な人を採用し、活躍し続けて頂くには「多様な意見を尊重すること、異なる意見を聞くこと、合意形成を目指すコミュニケーション」は避けて通れません。そのために、これらの土台となるロジカルシンキングを組織にインストールすることは必須と言っても過言ではないでしょう。

1人1人の価値観、意見を尊重し、みんなが納得する結論を導きだせる「ロジカルに思考する組織」は社員の幸せにも直結します。楽な道のりではありませんが、まずはこの記事をお読み頂いたあなた自身の思考からロジカルシンキングのさらなる実践を心掛け、笑顔あふれる組織をつくっていきましょう!