「〇〇さんは当事者意識が低い...」このセリフを聞かない会社は存在しないのでは?と言えるほど、組織のなかでは「当事者意識」という言葉がよく使われ、度々問題として取り上げられています。
また「私は当事者意識が低い...」と自ら認識し「当事者意識を高めたいけど、どうすればいいの?」と悩んでいる方もいます。
世の中にはこれだけ「当事者意識」という言葉が使われているにも関わらず、精神論で「意識を強く持て!」という解決策以外に提示されているものは少なく、多くの人を悩ませ続けています。そこで、この記事では「当事者意識とは何か?どのように高める(育む)のか?」を解説していきます。
※会社のパーパスといった「抽象度の高く、当事者意識が低くなりがち」なものへの対策としても有効です。
当事者意識とは何か?
「当事者=直接関係している人」と「意識=気づいているか」を指します。ビジネスの世界では「組織の一員としての自覚を強く持ち、積極的に行動している状態」を「当事者意識が高い」と表現しています。
当事者意識を高める(育む)には?
当事者意識を高める(育む)には「意味感」と「有用感」の2つが必要です。
■ 意味感
*自分の人生の目的・夢・目標などと、自分が所属している組織の目的(パーパス)や仕事内容が重なってる。
*その仕事に挑戦する価値がある。(経験を詰める、成長できる、成果が得られる、などの期待が持てる)
*「私がやるべき」または「私にしかできない」ことである。
上記が満たされていると、この組織に所属していることや、この仕事をやっていることに「意味がある」と感じます。ちなみに、この「感じ方」には個人差や大小があり、より大きくしていくためには「自分の人生の目的・夢・目標などと向き合う」や「自己理解を深め、独自のスキルを伸ばす」ことが有効です。
■ 有用感
*実際に役に立っている。(成果が出ている)
意味感だけでも一時的には「組織の一員としての自覚を強く持ち、積極的に行動している状態」を作りだせます。しかし、成果が出ないと続かない。「自分は役に立たない」という思いから、当事者意識は低下していきます。そうならない為にも「成果を具体的に定義すること」「成果を出すためのサポート」が欠かせません。(成果はいつまでに出せばいいか?できれば小さな成果でもいいので3カ月以内に出せるよう心がけましょう。それは大きな成果への途中経過でも構いません)
弊社は「サステナブルな人と組織をこの地球へ」というパーパスを掲げ、パーパス経営コンサルティングを行っています。この組織において、コンサルタントは「自分は顧客企業を変革し、パーパスを体現しているぞ!」とパーパスとの接続も、成果の認識も持ちやすいです。一方で、人事やマーケティングを担当している社員はどうでしょうか?
人事であれば「採用」や「制度設計」といった内側の仕事に注力し「パーパスとの直結感」は薄まります。マーケティングにおいても「リードが〇件獲得できた」や「セミナーを開催した」ではパーパスに対して「有用感」を得にくいのが現実。そこで、できる限り早く「採用した人が顧客企業を変革した」や「セミナー参加企業の中から受注した」を作りだすこと。さらにそのプロセス・成果が、これまでの施策より「優れている」状態を作りだすことが重要になります。(実は左記を「認識」させることが漏れがちなのでご注意ください)
当事者意識は「意味感 × 有用感」の掛け算で高める(育む)ことができます。ここであえて「育む」と書いたのは、簡単に高まるものではなく、時間をかけて「育む」ものだからです。「意識を強く持て!」と精神論を振りかざすのではなく、じっくりと腰を据えて「育む」ように向きあってみてはいかがでしょうか。