パーパス経営の失敗事例

パーパス経営に取りくむ企業が増えてきましたが「うまくいかない」「何も変わらない」と言った声も多く聞きます。この記事では実際の失敗事例と、成功のポイントについてまとめていきます。

失敗事例①:経営者の覚悟不足

パーパス経営についてネットやビジネス誌で見かけ「うちも乗り遅れないように」と安易に導入した結果、「無風(何も起きなかった)」という企業が非常に多いです。

パーパス経営はその成り立ちから「パーパスに基づいた事業変革と、その事業を通した社会課題の解決」が求められます。安易に飛びついた企業はそこまでの覚悟はなく「今まで通りの事業を行う=何も起きない」。そこに費やした時間・お金を考えると「経営判断の失敗」と言っても過言ではありません。

失敗事例②:実態との乖離

上記の事例では「無風」ですが、そこから「逆風」になってしまうこともあります。「採用活動」にパーパスが取り入れられると「弊社のパーパスは**です。ただ働くだけでなく、社会課題を解決するために一緒に挑戦する人生を選びませんか!?」こんなメッセージで採用活動を行い、採用人数を増やすことが可能です。しかし、実際に入社してみると「大半の事業はパーパスとは全く関係のない既存事業」。やり甲斐を感じず、早期退職に繋がるケースが散見されます。

また、既存社員においては「経営陣が何か新しいものを持ってきたけど、結局また口だけだよね」と冷めた目で見ている社員も多くいます。そして実際にパーパスに基づいた変革が行われないと「やっぱり経営陣は耳障りの良いことを言うだけ。信用するに値しない」と経営への信頼を低下させる。これは「パーパス経営の失敗」と断言できます。

失敗事例③:不健全な組織

パーパスに基づいた素晴らしい事業を作ったのに、失敗してしまう会社もあります。それは健全性が著しく低い組織です。具体的にはパワハラ、サービス残業、低賃金、不適切な評価、いじめ、などなど「素晴らしいやり甲斐のある事業なのに、続けたくても続けられない組織」をいくつも見ています。

善い事業には人が集まります。しかし善い組織でないと、人は定着しません。パーパス経営を成功させるためには「善い組織」を作ることも欠かせません。

パーパス経営を成功させる5つのポイント

①同じ志を持った人々を集めよう

・そのために、経営者が「パーパスへの覚悟」を持とう

・社員がパーパスを理解する、体現しようと思う「教育と評価」を整えよう

・パーパスに共感した人を採用しよう

②健全な組織をつくろう

・働きがいのある(挑戦ができる、自己実現につながる)組織をつくろう

・働きやすさのある(法令順守、多様性の尊重、心理的安全性がある)組織をつくろう

③社会課題の解決につなげよう

・解決したい社会課題の理解を深めよう

・あらゆるステークホルダーと協業しよう

・小さな成果を積み重ねていこう

④(社会課題の解決につながる)独自性の高い事業をつくり、主力事業に育て上げよう

・独自の価値を創造しよう

・事業ポートフォリオを見直そう

・営業マーケティングを強化し、主力事業に育て上げよう

⑤適正な利益と分配をしよう

・多すぎず少なすぎず、適正な利益を得よう

・パーパスに繋がる投資をしよう

・従業員と社会へ還元しよう

この5つが実現できた結果として、その企業は現在・未来の「社員、顧客、事業パートナー、株主、地域など」から必要とされ続け、地球の持続可能性が高まることにつながります。これが最初に述べた「パーパスに基づいた事業変革と、その事業を通した社会課題の解決」=「パーパス経営の成功」だと言えます。

成功までの道のりは長く険しい。5年、10年、もしかするとあなたが経営者として現役の時代には解決できないかもしれません。それでも次世代のために挑戦していくことが我々大人の責任であり、経営者として見せるべき姿なのではないでしょうか。私もその姿を見せ続けられるよう、努力していきます。一緒に頑張りましょう!