パーパス経営診断

うちの会社のパーパス経営は、うまくいっているのだろうか?そもそも、どのようにうまくいっているか判断したらいいのだろうか?パーパス経営を推進するのであれば、理想の状態を明確にし、現状とのギャップをとらえる必要がある。この記事ではパーパス経営の「理想と現状」を知るためのポイントと診断ツールをご紹介します。

■ 理想の状態

パーパス経営とは、社会の持続可能性を高めるために「自社のパーパス=社会における存在意義」を定め、事業を通して「パーパスを体現する=社会の持続可能性を高める」ことです。

そのためには①パーパス(理念)を作ること②パーパスに基づいた事業を作ること③その事業を機能させる組織を作ること、が必要です。さらに、②③を加速させるためにも④パーパスを浸透させること、が欠かせません。

上記の4つに対して「理想の状態」と「自社の現状」がわかれば、より良い状態に向けて何をすればいいのか?が明確になります。そこで開発したものが「パーパス経営診断」です。

■ パーパス経営診断

この診断は「パーパス経営を成功させることが、この地球を持続可能にする」という強い想いから、パーパス経営に取り組まれている企業(これから取り組まれる企業)にむけて「無料」で提供しています。

※全20問の質問にお答えいただきます。(約5分)

※ご利用は会社役員の方に限定させていただいております。

■ パーパス経営診断の解説 (診断前・診断中・診断後、いつお読みいただいても構いません)

【理念の構造】

・経営理念は「社会の持続可能性を高めること」を強く意識した作りになっているか?(1/20)
→上記を強く意識していなければ「パーパス経営」とは呼べないでしょう。特に理念体系のなかの大上段(パーパスやミッション)で「社会を何でどう変えるのか?」まで具体的に言及できていると完璧。社員にとっても、経営陣にとっても、これを覚えるだけでブレることがなくなります。

経営理念は独自性が高いか?(=競合他社では使えないか?)(2/20)

→独自性が低いということは「他の会社でもよい=社会における存在意義がない」とも言えます。自社固有の価値を「どの方向で高めていくのか?」を経営理念で定めておきましょう。

経営理念は長すぎず短すぎず、適度な文字数であるか?(目安は20字前後)(3/20)

→独自性を求めると具体的で長い文章になりがちです。一方で、覚えやすさを優先すると短すぎて抽象的な「どこの会社でも使える言葉」になりがち。ここの絶妙なバランスを取った文字数(20字前後)が理想的。独自性と覚えやすさの両立を狙ってください。

経営理念は少ない項目数で構成されているか?(項目の例:パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー、ウェイ、ポリシーなど)(4/20)

→ある会社では「ミッション・ビジョン・バリュー・ポリシー・フィロソフィー」と経営理念が5つの項目で構成されていました。これを覚えられますか?そもそも5つも必要でしょうか?大抵は、内容が被っています。ソニーさんが「パーパスとバリュー」の2つで構成しているように、できる限り少ない項目で構成した方が浸透には有利です。

なぜこの経営理念なのか?背景(歴史・価値観・課題など)をわかりやすくまとめているか?(5/20)

→会社の歴史、経営者の価値観、社会の課題などの背景情報から「だからこの経営理念を掲げ、こんな会社とその先の社会を目指している」と語れることが重要です。意外と疎かにされがちですが、経営理念の浸透している会社は必ずと言っていいほど背景がわかりやすくまとめられています。

【事業の構造】

主力事業が社会の持続可能性を高めることに貢献しているか?(6/20)

→パーパス経営を謳いながら、パーパスに関わる事業は新規事業で少し触れているだけ。主力事業はまったく社会の持続可能性を高めることに貢献していない。という会社も見受けられます。これではパーパスは形だけ。社員や社会から「結局何も変わっていない」と認識されます。

主力事業は独自性が高いか?(7/20)

→独自性の低い事業では「他社でも代替可能=社会における存在意義を果たせていない」ことになります。また、経営理念に基づいた事業変革や活動の原資が不足しがち。主力事業の独自性を高めて強い土台をつくりましょう。

経営理念に基づいた最適な事業構成になっているか?(8/20)

→例えば「経営理念に基づいた新規事業:既存事業」の割合が現状は「1:9」、理想は「8:2」だとすると最適な事業構成にはなっていません。理想の状態を定め、そこに向けて「まずは今年はこの割合を目指す」と設定し、その進捗を見ていくとよいでしょう。

経営理念に基づいて個々の事業を改善しているか?(9/20)

→経営理念に基づいた新規事業を作ればいいのか?それだけでは足りません。既存事業も経営理念に基づいて変革していく必要があります。つまり、個々の事業すべてにおいて「経営理念に基づいて改善しているか?」をチェックしていきましょう。

事業継続・改善に必要な利益が出ているか?(10/20)

→パーパス経営は理想ばかり掲げていても実現できません。事業継続のためにも、改善のためにも「必要な利益を出すこと」から目を逸らさないでください。

【組織の構造】

経営理念に基づいた採用・教育・評価が行われているか?(11/20)

→経営理念に共感している人の採用ができていますか?経営理念に基づいた教育体系が構築されていますか?経営理念を体現している人を適切に評価していますか?採用の仕組み、教育制度、評価制度など、理念に基づいて整っているかを確認しましょう。

経営理念を体現しやすい就業環境(オフィスやシステム)が整っているか?(12/20)

→ある会社では「共創」という言葉が経営理念に含まれています。そこで社内外の人が出入り自由な「共創ルーム」、社内のコミュニケーションを活発にする「独自のチャットシステム」などを構築。経営理念を体現しやすい就業環境の整備は欠かせません。

給与が業界平均を上回っているか?(13/20)

→素晴らしい経営理念を掲げていても薄給では長続きしません。優秀な人に働き続けてもらうためにも、業界平均を(少しでも)上回るぐらいの給与は支払っていきましょう。

マネジメント(現場のリーダーから経営陣まで)が部下から信頼されているか?(14/20)

→マネジメントの信頼がないと、部下は経営理念を体現しようとすら思いません。組織においてマネジメントが部下から信頼されているかどうかは見逃せない要素。エンゲージメント調査を参考に、問題があれば「早急に」解決する必要があります。

経営理念の体現にむけて、ステークホルダー(あらゆる利害関係者)と協力しているか?(15/20)

→パーパス経営という文脈において、社会の持続可能性を高めるために「社外との協力」は必要不可欠です。経営理念を体現するために協力すべきステークホルダーを洗い出し、関係を築いていきましょう。

【浸透度】

社員が経営理念を覚えているか?(16/20)

→まずは「社員が経営理念を覚えているか?」を確認しましょう。何も見ずに答えられたらOKです。なお、覚えさせるための「唱和」は推奨していません。唱えることが目的の「苦痛な労働」になりがちです。

社員が経営理念をよく口にするか?(17/20)

→社員の何気ない会話、会議中の議論をよく観察してみてください。パーパスやバリューなど経営理念の中の言葉が出ていたらOK。そのためには、まずは経営者がよく口にすること。経営理念の浸透プロジェクトや会議のグランドルールの設定など、覚えようとしなくても自動的に使う状況を作っていけるとよいです。

社員は自身の夢や価値観と経営理念との重なりを見出しているか?(18/20)

→ここからは少しずつ上級編です。社員の自身の夢や価値観(個人における経営理念のようなもの)と会社の経営理念との重なりを見つけることができると「この会社で頑張ることで、自分も会社もハッピーになる」という確信が得られます。また、これが具体的な目標設定に落とし込まれると最強!個人のパフォーマンス・幸福度を最大化することにつながります。

経営理念の体現を取引先も意識しているか?(発言や提案があるか?)(19/20)

→わかりやすく「取引先」と表現しましたが、取引関係のない人でも構いません。社外の人が自社の経営理念に共感し、経営理念を口に出したり、体現に向けたアイデアの提案がなされている状態が理想です。そのためには「理念の構造・事業の構造・組織の構造」を整えていきましょう。

経営理念に合致した人や仕事の紹介があるか?(20/20)

→最終的には「利」がなくても「経営理念に深く共感している、力になりたい」という思いから、経営理念に合致した人や仕事を紹介して頂けることがあります。ここまでくると営利企業でありながら、大きな社会的な価値を発揮している「社会の公器」と言えるかもしれません。

以上、パーパス経営診断は「理念・事業・組織・浸透」の4項目に分類された20個の要素で構成されています。この項目・要素を日々振返りながら、パーパス経営の推進にご活用頂けると嬉しいかぎりです。